語感による科学的名づけ

”へんな日本語の通になる”著者への手紙

 

  ”へんな日本語の通になる”著者への手紙  

「100字書評」 追補   「へんな言葉の通になる」
得猪外明先生にお渡しください。

本そのものの価値を決して損なうものではありませんが、気になるところにつき私見を述べさせてください。

○ P47 本田朖とあるのは鈴木朖ではないか、若いころなら山田朖。

○ P59 「ビャ」は「ヒャ」ではないか。

○ 言語そのものの起源を「おしゃべり」とするのはやや安易ではないでしょうか。「歌うネアンデルタール(スチーヴン・ミズン)」などを引用されてはいかがですか。いろいろな説が紹介されています。私は、個人的には、「グルーミング」だと思います。

○ やまとことばにおける「ハ」行「パ」行「バ」行の位置づけがはっきりしない。私見では、古代、P音(パ)であったものがPH音(ファ)になりH音(ハ)になって今日に至ったと理解しています。したがって、「ひかり」は「ピカリ」、オノマトペそのもの。「日」は「ピ」、「人」は「ピト」、「ひよこ」は「ピヨコ」であった。ちなみに、濁音「バ」の清音は「パ」、「ハ」ではありません。P音B音が両唇音の破裂音であるのにたいし、H音は声門音の摩擦音で、「THE INTERNATIONAL PHONETIC ALPHABET」でも離れたところに位置づけられています。(S・Z),(T・D),(P・B)はそれぞれ同じ場所にあり、有声、無声の違いがあるだけです。それでは「ハ」と「パ」「バ」の関係はというとそれぞれの発声のときの口腔の形がいっしょなのです。ちなみに、M音もいっしょです。M音は鼻へ抜く鼻音。オッパイを飲みながら赤ん坊がだすのがM音、それを鼻に抜かずにだすとB音、そして、それを無声音にするとP音になります。したがって「ダダダ」はもっと後ではないでしょうか。

○ オノマトペの成立が「ガラガラポン」といわれると偶然のように聞こえてしまいますが、私は、そこに規則性があると思います。「サラサラ」と「カラカラ」が逆ではありえない。それぞれに語感があるからです。語感については少し触れられていますが、従来、語感は研究者に軽視されてきました。とらえどころがないのと、女性に比し男性が自身であまり実感できないからと思われます。プラトンの「プラトン全集2 クラテュロス」のなかでソクラテスは、「ことばは、声の音でそのものを模倣したものだ。もっともうまく模倣した言語があるとすれば、それがもっとも美しい言語だ。」というようなことを言っています。オノマトペを多用する日本語はまさにそのような言語ですね。私の研究仲間の黒川伊保子は、語感というものは、そもそもその人の発声体感からきていると言っています。ソクラテスもそれに近いことを言っています。語感はオノマトペの本質にかかわる最も重要な点だと思いますので、ご参考にされてはいかがでしょうか。(「日本語はなぜ美しいのか」集英社新書)

大変生意気なことを書いてしまいました。大変な力作にお礼の意味をこめて書きました。
先生のますますのご健勝をお祈りいたします。
             平成19年9月10日
                          増田嗣郎

追加
○ P127 「R]と「L」の区別の能力については逆。開発されないのではなく、もともとは出来たものが、日本語では不要ゆえ使われなくて、捨てられ、出来なくなるのです。生後12ヶ月ごろにシナプス結合の数が最大になるといわれています。その後使われないシナプスはどんどん消滅していくのです(シナプス選択)。ちなみに、絶対音感も、すべての赤ちゃんは持っていて、ことばを獲得していく過程で邪魔になるので捨てていくのだそうです。

○ P117 「シロ」と「クロ」、「アカ」と「アオ」の色の名前の対比は面白いのですが、意味からの対比は、白と青、赤と黒になります。すなわち、明るいからきた「赤」に対し、暗いから来た「黒」。そして、験し(はっきりした)から来た「白」にたいし、淡し(あいまいな)から来た「青」となります。昔は、緑も青も水色も、その他の色を青と呼んだのです。明るいから、明ける、朝などの言葉もできたのでしょう。暗いからは、暮れるなどができたのでしょう。

○ P118 最初の頃の言葉として、「メ(目、芽)」「キ(木)」「ネ(根)」「ケ(毛)」「テ(手)」などをあげておられますが、もともとはE音がなかったといわれていますので、「目」は「マ」、「手」は「タ」で、「木」は「毛」だったといわれていますので、「コ」か「カ」だったのではないでしょうか。

powered by Quick Homepage Maker 3.71
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional