語感による科学的名づけ

ハリー・ポッター

   じゃんけん、恋占い  

先日、朝食後に新聞を読みながらフジテレの‘情報です’を見ていたら、‘じゃんけんによる恋占い’と称するものをやっていた。5回じゃんけんをやらせて、グー、チョキ、パーの出方でその人の恋愛に際しての態度傾向を占うというものであった。
正確ではないが、
グーの多い人はいちずな奥手タイプ、
チョキの多い人は戦略的な恋多きタイプ、
パーの多い人は寂しがり屋のかまってちゃんタイプ、
なのだそうである。説明を聞いていると、グーは慎重、チョキは積極的、パーはオープンですべてを受け入れると言っていたようだった。そこでフト、「これって母音を発声するときの口の動きと同じじゃないか」と思った。
口の中を大きくして、口の中に握り拳を作るようにして発声するのが/o/、これがグー。
口先に力を入れ突き出すように強く発声するのが/i/で、チョキ。
口を大きく開けて素直に発声するのが/a/で、パーに相当するのではないか、と気付いたのである。
それなら、じゃんけんをさせなくとも、その人の好きな言葉を聞けば、同じことが分るのではないかと思った。
その人の対人傾向を知るには、その人の名前でもいいかもしれない。仲間から呼ばれるニックネームでもいいかもしれない。
名前なら名前に使われている母音のそれぞれの数を数えればいい。日本語の場合は、先頭拍の母音だけでもいいかもしれない。
/o/なら、グータイプ。
/i/なら、チョキタイプ。
/a/なら、パータイプ。
じゃんけんにはない/u/、/e/ならどうするか。/u/、/e/の語感から作ればいい。
/u/なら、内向的なロマンチスト、ウジウジしていても突然動き出すこともある。
/e/なら、控えめな追随型、ただ情が厚いかも。となる。
好きな言葉の応用編としては、「愛と恋とどちらが好き?」と聞いてみてもいい。
愛と恋、言葉の意味の違いはこの際別にして、音の違いは/a/と/Ko/である。母音だけを考えると/a/対/o/である。
愛がパータイプ、恋がグータイプ。当たっているような気がする。
愛はオープンで明るく、少し軽いがやさしく、博愛が似合う。
恋は内向きで重いが、存在感はある。
恋は恋い焦がれるが、愛には憧れる。‘焦がれる’と‘憧れる’。‘焦がれる’に/a/がつくと‘憧れる’になる。内向きの恋、‘焦がれる’にオープンなイメージの/a/を加えると外向きの愛、‘憧れる’になるのである。
ちなみに、愛と恋を和英辞書で引くと、まず、loveと出てきて余り違いがない(affectionとpassionの違いのようで、程度の違いなのかもしれない)。‘焦がれる’、‘憧れる’を引いても同じような単語が出てくる。英語では余り区別をしないようである。
「愛してる」は「I love you.」だが、「好きやねん」の英語は、やはり、ない。
   (平成27年6月12日)

   祝 王女誕生 シャーロット・エリザベス・ダイアナ  

シャーロットエリザベスダイアナロッティーチャールズ
1イキイキしとやか充 実すっきりスポーティ
2のびのびやさしい豊 かクリアのびのび
3ワクワク艶っぽいたくましいピュアあどけない
4たっぷりひかえめ信頼感清 楚軽 快
5躍動感落ち着いたどっしりキリリ若々しい
1自然に心的・内面的多 い鋭い・線的自然に
2滑らか受 身大きい滑らか心的・内面的
3拡 散繋がり重  いインパクト動 き
4明るい多 い積極的(主体的)透明感拡 散
5動 き躊 躇迫力・勢い緊張感多 い
6上 品迫力・勢い自然に意思・指向性明るい
7心的・内面的積極的(主体的)外向・オープン冷たいインパクト
8個別・離散性抑圧・抑制温かい切 れ軽  い
9大きい動 き拡 散積極的(主体的)滑らか
10静 さ湿れた鈍 い充ちた湿れた
1明るい粗 い温かい切 れ明るい
2冷たい粘 り大きい滑らか小さい
3滑らか薄 い重 い固 い粘 り
4温かい温かい粘 り鋭 い軽 い
5湿った明るい明るい冷たい動 き

英国王室に王女が誕生した。名前はシャーロット。ミドルネームはエリザベス・ダイアナ。愛称はロッティーだという。シャーロットはチャールズの女性名。これらの語感を分析してみた。  (平成27年5月5日)

   エビータ と エリクシール  

なにげなくテレビのコマーシャルを見ていて、一見よく似た化粧品の名前が目に入った。
‘エビータ’と‘エリクシール’。ともにお肌用の化粧品である。
語感を分析してみると、‘滑らかさ’では共通であるが、‘温かさ’と‘冷たさ’という点では正反対であることが分かった。その結果、‘エビータ’は‘親しさ’を感じさせ、‘エリクシール’は‘清楚さ’を感じさせ、それがまた、‘かわいい’と‘キュート’の違いになっているようだ。
なお、‘エビータ’は日本語には/V/音がないので/B/音で分析した。本来の/V/音で分析したものが‘EVITA’である。/B/音に比べ/V/音の方が‘切れ’が効いてくるようだ。
   (平成26年12月9日)

エビータエリクシールEVITA
1親しみ繊 細しっかり
2充 実キラキラ繊 細
3かわいいキュートかわいい
4甘えん坊理知的親しみ
5円 満清 楚静かさ
1滑らか滑らか滑らか
2粘 り切 れ小さい
3濃い・厚い小さい切 れ
4小さい冷たい粘 り
5温かい明るい明るい

   てへぺろ、きゃわたん  

今年の流行語大賞は「ワイルドだろぉ」だった。言葉にしても音にしても面白くもおかしくもない。パーフォーマンスの面白さなのだろう。
この点、女子中高生ケータイ流行語大賞の金賞、銀賞は言語学的にも面白い。ある意味、典型的な日本語である。
金賞は「てへぺろ」、銀賞は「きゃわたん」。
中高年男性にとっては、「なぬ!?」だろうが、「てへぺろ」はオノマトペである。「てへへと笑って、ペロッと舌を出す」を縮めたのが「てへぺろ」。オノマトペの多用は日本語の一大特徴であるし、言葉を4拍に短縮して新しい言葉を作るのは日本語のクセのようなものである。
「てへへ(TeHeHe)」は擬情的な擬態語だろう。‘e’に受け身で一歩身を引く語感があることから、照れた状態を表すが、「照れ(TeRe)」という言葉自体「TeHe」から変化して出来たものだろう(「照る」という物理現象には、「照れる」という心の状態との関連が見当たらない)。
「TeHe」の母音‘e’を変化させると「ToHo」が出来る。「トホホ」も擬情語で、困り果てた状態を表すが、これは、母音‘o’に重さがあり、動きにくさ暗さが感じられるからである。「トホホ」から「途方に暮れる」という表現も生まれた(ちなみに、「途方」は本来の漢語ではなく日本製の言葉で、当て字だろう)。
「タハッ(TaHa)」もある。やっちゃったというようなイメージであるが、これは母音‘a’にオープンで開けっぴろげなイメージがあるからである(「やっちゃった」も母音‘a’つらなりである)。
「ぺろ」は舌を出したときの擬態語。舌のことを「べろ」とも言う。‘Pe’には薄いイメージがあって、薄いものの形容を「ペラペラ」といい、薄いものを剥がす表現は「ペリッ」、「ペリペリ」、薄いものを張り付ける表現が「ペタッ」、「ペタペタ」である。
「ぺろ」の‘Ro’にはまとまりのイメージからくる露出的なイメージもある(駄洒落的連想イメージでもある)。

銀賞の「きゃわたん」。
「きゃわ」はカワイイの「かわ」を拗音化したもの。拗音化することによって子供っぽくなり、親しい感じが強まる。
「たん」は「ちゃん」が変化したもの。
「さま」が少しくだけて「さん」になり、これが拗音化して「ちゃん」になり、この「ちゃん」を舌足らずに発音したものが「たん」である。ことばを話し始めた幼児が「おとうちゃん」が上手く発音できなくて「おとうたん」になるのである。したがって、「たん」は最も幼い発音で、それ故、甘え感も加わって、なおさら親しさが感じられるのである。
   (平成24年12月15日)
(余談)
「照れる」に関連した言葉として「照れくさい」がある。
この「くさい」は何を表しているのか。同じ「くさい」の付く言葉に「アホくさい」、「面倒くさい」、「水くさい」、「辛気くさい」などがある。これらの共通点は何か。すべてネガティッブな状態に対する表現である。
臭ければ顔をしかめる。アホくさければ顔をしかめる。ネガティッブを表情で表すために顔をしかめる。この顔をしかめる動作を言葉にしたのではないだろうか。動作を言葉に替えているのである(擬態語というよりは実況語である)。動作とともにその動作を表す言葉も同時に発しているのである。
では、なぜ「くさい」というのか。「くさい」は「くちゃい」からだろう。「くちゃい」は「くちゃる」から。ものが腐れば臭くなるからである。
「くちゃる」は「くちゃくちゃ」、「ぐちゃぐちゃ」から、「ぐちゃぐちゃ」はものが崩れて無秩序になった状態を表すオノマトペである。ものが腐れば「ぐちゃぐちゃ」の状態になる。ものが腐敗して「ぐちゃぐちゃ」になるのを見て、太古の人々は「ぐちゃる」、あるいは「くさる」と言うようになったのではないだろうか。そして、そのとき放たれる匂いを「くさい」と。
    (平成24年12月16日)
 語感分析の結果は以下の通り

てへぺろきゃわたんちゃん
1親しみ味わい浮揚感ユーモア楽しさ
2ひかえめ楽しさ開放感味わいかわいい
3情 緒若々しい淡 い荘 厳親しみ
4女らしい意 欲明るい親しみにぎやか
5きめ細やかたくましさあっさりたくましさボリューム感
1受 身個別・離散性軽 い止まる・留まる自然に
2躊 躇拡散・広がり淡 い充ちた・塊り明るい
3心的・内面的動 き明るい個別・離散性小さい
4止まる・留まる外向・オープン拡散・広がり固 い個別・離散性
5集中・纏り感低 い乾いた集中・纏り感迫力・勢い
6湿れた充ちた・塊り自然に意識的インパクト
7繋がり滑らかスピード感インパクト充ちた・塊り
8薄っぺら・面的緊張感小さい収 縮軽 い
9澱み感薄っぺら・面的意識的閉じた拡散・広がり
10充ちた・塊り小さい透明感濃 い止まる・留まる
1柔かい滑らか淡 い切 れ切 れ
2濃 い切 れ温かい濃 い温かい
3温かい柔かい切 れ滑らか明るい
4小さい大きい軽 い温かい濃 い
5固 い小さい明るい鋭 い軽 い

   「粋」 と 「雅」  

東京スカイツリーのライトアップが始まった。
ブルー系の「粋」、紫系の「雅」の二種類があって、ライトアップというよりは、内から艶消しで輝いている趣で、ともに優雅である。
「粋」と「雅」の言葉の音を分析してみた。
「イキ」の‘クール’で‘ピュア’なのは、その通りの気がする。‘アクティッブ’で‘ユニーク’なのも、江戸っ子の心意気とよく合っている。
「みやび」の‘ゴージャス’で‘スイート’なのは、華やかな平安貴族の立ち居振る舞いを思わせる。意外なのは、‘ヴィヴィッド’で‘セクシー’ということだが、「源氏物語」などを読むと成程そうなのかとも思う。
ところで、‘クール’で‘ピュア’がブルーなのはピッタリだが、‘ゴージャス’で‘スイート’、そして、‘セクシー’となると朱色でもよかった気がする。今のLEDでは無理だったのかもしれないが。
以上は純粋な語感のみの分析結果だが、日本語の言葉は、音のよく似た言葉の意味からの連想や、文字から受ける視覚的印象・意味的印象なども加わり、広い意味での語感を作り出す。
「粋」の類語としては、‘生きる’、‘息’、‘イキイキ’、そして、‘いかした’、‘いける’などがあり、「粋」にはこれらの表現のエッセンス、あるいは最もピュアにしたものの感じがある。
「雅」は‘都(みやこ)’、‘みやこびと’、‘宮(みや)’を連想させる。そして、末尾は‘わび’、‘さび’と‘び’を共有し、同じジャンルだと思わせるかもしれない。また、‘び’は‘美’を連想させるかもしれない。
視覚的には、「粋」は‘純粋’、「雅」は‘優雅’を連想させる。
ただ、これらのイメージの中で何を最も強く感じるかは、人それぞれであるし、同じ人でも、その時の置かれた状況、心理状態によっても変わってくる。
このように、感性の中味の問題は、元来、一元的・画一的なものではなく、確率論的可能性の問題なのである。
    (平成24年5月22日)
画像の説明

   ダルビッシュ 有  

‘ダルビッシュ’、なかなか勢いのあるいい名前である。アメリカでは‘YU’と呼ばれているようである。こちらも親しみを感じるすっきりした音である。日本のファンには‘ダル’とも呼ばれていた。親しみを込めて呼ばれていたので、悪い‘語感’ではないようだ。
‘ダルビッシュ・有’を語感分析してみた。‘ダルビッシュ’の 迫力 に対して、‘有’の 柔かさ、やさしさで、誠にバランスのよい組合せである。‘ダル’の‘語感’も悪くはない。

ダルビッシュ''''''''ダルビッシュ
********************************
1力強い''''柔らか''''どっしり強 烈みずみずしい
2ダイナミック''''ゆったり''''力強いボリューム感浮揚感
3ボリューム感''''はかない''''男性的アグレッシブメルヘンチック
4力動感メルヘンチック円 熟ドレッシー開放感
5ドレッシー浮揚感ダイナミック情熱的軽やか
1迫力・勢い''''心的・内面的''''パワー・力感インパクトスピード感
2積極的(主体的)''''揺れ・揺らぎ''''迫力・勢い積極的(主体的)動 き
3パワー・力感''''柔かい''''積極的(主体的)意識的軽 い
4インパクト''''深 み''''暗 さ迫力・勢い自然に
5スピード感''''スピード感''''充ちた・塊り切 れ心的・内面的

ところで、日本語では‘ダル’の音は余りいい意味の言葉では使われていない。‘ダルマ’はいいとして、‘だるい’は決していい意味ではない。
‘DaRuI’の‘RuI’は形容詞化のための語尾部分で、語幹は‘Da’である。‘だるい’は、‘ダラダラ’、‘だらける’、‘だらけた’、‘だれる’から出来た言葉で、その大元は‘TaRu(垂る)’である。いずれの‘Da’もいいイメージではない。加えて、‘駄作’、‘堕落’、そして、‘怠惰’、‘無駄’などの漢字語がある。‘ダサイ’という表現もこれらの言葉から出来てきたのだろう。すべていい意味合いの言葉ではない。‘ダメ!’という強烈な表現もある。
‘ダラダラ’は‘タラタラ’を濁音化したものであるが、‘タラタラ’は‘垂れる’と同根の言葉である。‘Ta’には、溜まる、止まる、イメージがあって、中味が液体状のもので詰まった粘り感 が強い。これが濁音化して‘Da’となると、重みと暗さ が加わって、澱み感、濁り感 が出てくる。もちろん、力強さ もあるが、日本語では、澱み感、濁り感 を表わすのに使う傾向がある(力強さ、重さ を強調するときは、‘Do’が使われる)。
‘ダル’と名前になると、‘Da’の 澱み感、濁り感 を‘Ru’の 滑らかな動き感 が消してくれるのだろう。形容詞として‘だるい’と言うと、‘RuI’は形容詞としての働きの‘語感’としてのみ選択的に感じられて、言葉本体の‘語感’としては、‘Da’のみの 澱み感、濁り感 のみが選択的に感じ分けられるようだ。
‘語感’の選択的感じ分けは、部分部分の使い分けではないが、全体の使い分けとして、同じオノマトペを全く異なる場面で使うケースにもみられる。
   ‘ハラハラと涙をこぼす’
   ‘あの子の演技には、ハラハラし通しだった’
   ‘ファンたちがゾクゾク集まってきた’
   ‘彼の登場をゾクゾクしながら待った’
‘ダメ’の‘Da’は強烈である。しかし、‘Da’に禁止・否定の意味合いがあるのではない。禁止のイメージは‘Me’にあるのである。‘Me’に‘語感’として、盛上がるものを無理やり下へ押さえつけるイメージがあって、禁止を意味する終助詞として使われるようになったのだろう。幼子を叱るときの‘メー’もこのイメージからだろう。そして、‘Da’は断定の助動詞‘〜だ’から来たものだと思う。
‘ダメ’という表現は、禁止の‘メ’が中心で、それに、インパクトのある断定の‘ダ’を被せたものと思うが、どうだろう。
‘イヤ’も同じケースである。‘ヤ’に、怪しむ、疑うイメージがあって、それに意思を感じさせる、インパクトのある‘イ’を被せた表現だろう。
もちろん、‘イイ’は意思の二重確認である。
‘オヤ’は、やはり、怪しみの‘ヤ’に心の動き(驚き)の‘オ’を被せたものだろう。‘オ’を強めて、‘オオヤ、オヤ’となると感動に近い。逆に、‘ヤ’を強めて発声すると、疑いの感じが強くなる。

 ダボチンスキー  

‘ダ’については、関西地方に‘ダボ’という言葉がある。馬鹿のことである。‘アホ’ともいう。
‘アホ’の軽くて明るいのに対し、‘ダボ’はいかにも愚鈍なイメージである。余りに重く暗いので、それを軽くするために‘ダボチンスキー’などと言ったこともある。(‘チン’は‘オタンチン’、‘でぶちん’の‘チン’)
‘アホ’も軽く明るすぎるので、‘アホンダラ’という地方もある。‘あほう達等’から来た古い言葉かもしれない。(今風の強調なら、‘ドアホー’だろう)
‘バカタレ’とも言った。この‘タレ’は‘ダラ’の変化かもしれないが、音として、言っている人の情けなさのようなものも感じられる(‘バカタレ’は親が子供を叱るときによく使われた)。
‘ダボ’は、‘ダボこくな’という言い方もあったから、‘だぼら(駄法螺)を言うな(吹くな)’から来たのかもしれない。
      (平成24年1月26日)

   ラ・ニーニャ エル・ニーニョ  

今年の冬は寒い。北海道の雪は記録的だそうだ。
TV解説によると、これはラニーニャ現象のせいだそうである。かって、日本列島の異常気象の原因をエルニーニョだと騒いだことがあった。
ラニーニャとエルニーニョはスペイン語で、対の言葉である。エルニーニョは男の子、ラニーニャは女の子という意味だそうである。共に、粘り気のある柔らかい音であるが、やはり、エルニーニョの方が男の子らしく、ラニーニャの方が女の子らしい。
なぜだろうか。
印象の違いは、多分、語尾の違いからだろう。
‘ニャ’と‘ニョ’の違い、もっと煎じつめると、母音‘a’と‘o’の違いである。
‘a’と‘o’の’語感’を比較すると、‘a’には、開いて拡散するイメージがあることから、明るく、柔らかい、そして、やさしいイメージがある。対して、‘o’は、口腔を大きくして、口の中奥でこもるように発音するので、大きく纏まった、そして、重い、しっかりしたイメージがある。

やまと言葉でも、男を‘o’、あるいは、‘Wo’、女を‘Me’で表した。‘雄(OSu)’、‘雌(MeSu)’である。子供では、男の子は‘Ko’、女の子は‘Me’である。‘彦(HiKo)、姫(HiMe)’,‘男(OToKo)、乙女(OToMe)’、そして、‘息子(MuSuKo),娘(MuSuMe)’である。
男の子については、スペイン語もやまと言葉も‘o’を使って同じであるが、女の子については、スペイン語の‘a’に対して、やまと言葉は‘Me’で母音も‘e’と異なっている。
‘a’のオープンで明るいのに対し、‘M’には、内からの力に加え、やや湿り気、粘り気があることから、結果として、豊潤さが感じられる。母音‘e’には、やや控えめさと繋がりの感じがあり、‘Me’となって、やや控えめなピチピチギャル(辛抱強く、MuCHiMuCHi、かな)のイメージになっている。古代のやまと人は、こんなイメージを女性に対し持っていたのかもしれない。
なお、‘ニャ’、‘ニョ’は‘N’の拗音で、‘N’の粘り感に柔らかさが加わり、幼子に感じるようなカワイさが強く出ている。

英語には、‘ガイ、ギャル’という言葉がある。‘boy、girl’と音的にも関係があるのだろう。これらの語尾は、男の子が‘i’で、女の子が‘u’になっている。母音‘i’、‘u’は、共に唇を狭くして発音するが、‘i’は前の方で、‘u’は後ろの方で発音する。‘i’には、真っすぐ直線のイメージがあり、‘u’には、内からの動きのイメージがある。 これからすると、純情真っすぐ少年と夢見る乙女のイメージだろうか。それにしては、‘ギャル’の音は少し騒がしい。‘ガイ’の音にはすっきりした切れがある。
 ‘a’、‘o’、‘Ko’,‘Me’,‘Wo’ の語感イメージ(人物)を出してみました。それぞれを比較してみて下さい。
     (平成24年1月24日)

''''''''KoMeWo
明 るい''''おっとり''''かわいい豊 潤おおらか
暖 か''''おおらか''''親しみ円 満包容力
やさしい''''包容力''''しっかり温 厚ボリューム感
柔 らか重 厚おっとり温 か世話好き
ほのぼのボリューム感クール温 和おっとり
******************************

   恋 と 愛 の 違い  

‘恋’と‘愛’、意味の違いではなく、‘語感’の違いだけを取り上げたい。
‘愛(AI)’と‘恋(KoI)’の音の違いは、‘A’と‘Ko’の違いである。
母音‘A’の発音体感は、オープンで広く明るい(少し淡いが)。
‘Ko’の発音体感は、小さく纏まって内内の感じである(少し硬いが)。
語感的には、‘愛’には‘博愛’が、‘恋’には‘秘めたる恋’が似合うようだ。
母音‘I’は、自分の強い意志を表しやすい。
ちなみに、‘アイ’は音読み、‘コイ’は訓読みである。

   「愛してる」 と 「好き」 の 違い  

‘愛(AI)’と‘好き(SuKi)’の‘語感’の違いは、‘A’がオープンで広く明るい感じであるのに対し、‘SuKi’は、‘Su’で滑らかに進んで、‘Ki’できっぱりと入り込む感じである。
結果、‘愛’は外から大きく包み込むイメージとなり、‘好き’は、すべてを捨てて胸に飛び込むイメージとなるのである。(あくまで、意味を言っているのではない。‘語感’についてのみ言っているのである。これが、本当の意味での‘語感’なのである。)

ちなみに、‘恋’という言葉は、‘乞う’から出来た。
‘乞う’という言葉は‘声’から出来たのだろう。
‘声’という言葉は‘来い’から出来たのだろう。
‘来い’という言葉は‘此処’から出来たのかもしれない。(此処へ来い。だんだん怪しくなる。しかし、筋は通っているので、大いにあり得る。)
‘此処’の語源については、語感上級 をご参照ください。
   平成23年6月24日

   ウサギ と うなぎ  

来年の干支は‘卯’である。
‘うさぎ’の語感はどんなものだろう。
‘うさぎ’と音の似たものに‘うなぎ’がある。
‘USaGi’と‘UNaGi’。
子音が一つ違うだけである。しかし、普段、われわれは、‘うさぎ’と‘うなぎ’の音の近さには全く気付かない。それぞれを連想することもない。
この二つの語感は似ているのだろうか。
もちろん、基調的には似ている。しかし、それぞれが‘うさぎ’らしさ、‘うなぎ’らしさの特徴をも出している。‘S’と‘N’との違いである。
ちなみに、お母さんたちは子供たちに‘うさぎ’のことを‘うさちゃん’ともいう。
これも併せて分析してみた。(五っのイメージを、あわせて味わってみてください。)
やはり、それらしさがよく出ている。
語感、おそるべし、というよりも、日本語のすごさである。
  (平成22年12月16日)

うさぎ''''うなぎ''''うさちゃん
1活 発''''元 気''''楽しい
2元 気''''にぎやか''''親しみ
3躍動感''''渋 い''''浮揚感
4イキイキ力動感ウキウキ
5力動感味わいかわいい
******************

   卑弥呼 は、古代 ピミコ であった。  

奈良時代以前、現在のH音はP音で発音していたらしい。その後、F音に変わり鎌倉時代以降現在のH音になったのだという。したがって、平安時代は フィミコ である。
ピミコ、フィミコ、ヒミコ の語感の違いを分析してみた。
もちろん、古代人の感性と現代人の感性は違う。しかし、口の中の体感ベースでは大きな違いはないだろう。
古代、卑弥呼には鋭さとパワーがあった。それが、だんだん神秘性で覆われてきたのには、語感の働きもあったのかもしれない。
     (平成21年10月22日)

ヒミコ''''フィミコ''''ピミコ
1気 品''''すっきり''''キリリ
2繊 細''''りりしい''''気 品
3キリリ''''キリリ''''りりしい
4緻 密清 楚鋭 い
5清らか気 品ピュア
1透明感切 れ小さい
2冷たい集 中透明感
3小さい外向き充ちた
4切 れスピード感パワー
5静 さ充ちた切 れ
***************************

 

+卑弥呼
1気 品''''充 実''''風 格気 品
2繊 細''''豊 潤''''どっしり繊 細
3清らか''''豊 か''''がっしりキリリ
4キリリ意欲的包容力緻 密
5クリアみずみずしい充 実清らか
1冷たい充ちた回 転透明感
2透明感意 思集 中冷たい
3小さい濃 い澱み感小さい
4薄 い外向き重 い切 れ
5静 さ大きい心的・内面的静 さ
********************************

 

   ハリー・ポッター  

 ハリー・ポッター の 語感  

ハリー・ポッターハリーポッター
1カワイイすっきりカワイイ
2ピチピチ清 楚ピチピチ
3キュートさわやかお茶目
4溌 剌クリアヤンチャ
5イキイキハキハキ溌 剌
6かわいいさっぱりキビキビ
7清 楚清 潔イキイキ
8キビキビスマートキュート
9お茶目カワイイかわいい
10躍動感快 活躍動感
******************************

パリー・ポッターの通う魔法魔術学校ホグワーツを創設した中世の4人の偉大な魔法使い。

   Godric Gryffindor ゴドリック・グリフィンドール
   Helga Hufflepuff  ヘルガ・ハッフルパフ
   Rowena Ravenclaw  ロウェナ・レイブンクロー
   Salazar Slytherin  サラザール・スリザリン

それぞれの名前が頭韻を踏んでいますが、これら頭韻の語感と設定されている4人の性格につながりが感じられます。作者ジョアン・ローリングも鋭い語感をもっているようです。

G.GH.HR.RS.S
1チャレンジングやさしいりりしいすっきり
2覇 気ほのぼのキラキラさわやか
3ダイナミックほがらかキ リ リ清 潔
4力強いワクワクハキハキスマート
5たくましい親しみやすい積極的清 楚
6積極的柔 らかクリア軽 やか
7個性豊かかわいい気 品さっぱり
8バイタリティ世話好き理知的クリア
9厳 格温 かチャレンジングシャープ
10責任感面倒見のよいピチピチ滑 らか
***************************

Godric Gryffindor   勇猛果敢で騎士的な性格の魔法使い。
Helga Hufflepuff   忠誠、勤労、公正、正直を重んじた魔女。平等主義でも知られる。
Rowena Ravenclaw  スコットランド出身の怜悧な頭脳を持った賢い魔女。
Salazar Slytherin   魔法使い・魔女の純血を重んじた魔法使い。

( 窪薗晴夫著 「ネーミングの言語学」 から一部借用 )

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