語感による科学的名づけ

語感言語学上の今後のテーマ

 

   語感言語学上の今後のテーマ  

 語感言語学上の諸疑問  

○ N の問題
 どうして N が否定に使われるのか。N は鼻音で、親しい感じ、密着した感じ、粘っこい感じなどがあるが、これらと何か関係があるのか。
日本語では、’・・・ない’。
欧米語では、’NO’、’Never’、’Non−’ など。’Un−’も関係があるかも。

○ 拍とシラブル
 どちらが先か。どちらかから、どちらかに変化したのか。もしそうなら、どうしてそのように変化したのか。( 拍もシラブルも音節であるが、拍形式でない音節を、いわゆるシラブルとする。)

○ 日本語とインド欧羅巴祖語はルーツは同じか。
 拍、シラブルの問題とも絡むが、原祖語のようなものがあって、そこから日本語も欧米語も出てきたのか。日本語は独自に発生したのか。

○ 日本語の膠着性
 日本語の膠着性は、日本語人のものの考え方と関係があると思われるが、その関係性。
 欧米語人のものの考え方との違い。
 これらのものの考え方の違いと生成文法との関係。
 拍・シラブル問題ともからむのか。

○ 右脳、左脳のスイッチング
 言葉を聞くと言語脳・左脳にスイッチが入るが、fMRIなどで確認できないか。
 すなはち、欧米語人が単母音を言語脳では聞かない確証。
 虫の声などは、どうなっているか、日本人と欧米人で本当に違うのか。
 これも、拍・シラブルの違いからか。

○ 絶対音感の喪失
 赤ちゃんが生まれたときは、絶対音感を持っているが、言語を獲得する過程でそれを失う、あるいは、捨てるという証拠。
 成人してなお絶対音感を持っている人たちがいる、これらの人たちの言語能力に何らかの違いがあるのか。実証的研究が欲しい。

日本語と諸外国語との音声学的違い  拍とシラブル  

 日本語と欧米語をはじめとする諸外国語との違いについて、従来あまり強調されることがなかったが、言語獲得という赤ちゃんの立場から考えると、大変大きな違いがあります。( 拍もシラブルも音節ですが、拍形式でない音節を、いわゆるシラブルとします。)

 それは、日本語が拍単位であり、欧米語がシラブル単位であることです。これは赤ちゃんにとっては大変な違いで、認識システムそのものが違ってきます。

 赤ちゃんは生まれたとき、すでにヒトの声と他の物音とは区別して聞き取っているかもしれません。ただ、言葉は音のカタマリとしてしか掴めていないでしょう。やがて、たくさんのヒトの声を聞き、言葉一つ一つの構成要素の一つ一つを認識できるようになるのでしょう。このとき、欧米語の環境で育てばシラブル一つ一つを認識できるようになるし、日本語環境で育てば拍一つ一つを認識できるようになるのでしょう。
 拍で認識するか、シラブルで認識するかは、システムとしては大変な違いです。
 拍では、アイウエオ 50音+濁音+拗音 などで、せいぜい 100 でしょう。しかし、欧米語では、覚えなければならないシラブルの数は、ずっと多く 約3000 といわれています。

 次に、赤ちゃんはこの音節の構成要素一つ一つを音素として記憶していきます。そして脳の中に音韻秩序として構築します。当然日本語環境で育った脳と、欧米語環境で育った脳では、この音韻秩序が違ってきます。日本語環境では、R音とL音の区別は必要ありませんし、欧米語環境では、小野、大野の’オ’と’オー’の区別がありません。音韻秩序を形成する音韻の数は日本語では  20、英語では 45 といわれています。
 そして、日本語人は、5×10+αの拍の組合せとして言葉を覚えていきますが、欧米語人はシラブルとして、すなわち、ほとんど言葉そのものを覚えていきます。システムとして、本質的に違ってきます。

 母音と子音を組み合わせて拍、拍を組み合わせて言葉、組み合わせて作る、ここから日本語の文全体としての膠着性が育ってきたのかもしれません。レゴのように、つないでいけばいくらでも新しい言葉ができる。文章もどんどんつないでいける。

 拍とシラブルの違いだけに関していえば、日本語の方がデジタルで合理的です。加えて、日本語はアナログ的母音を残した。しかも、単母音の言葉も残した。すなわち、デジタルの合理的システムに、情緒性の強い母音・アナログを温存したということでしょう。
 ちなみに、欧米語では、単母音を言葉としては認識しないようです。角田忠信先生の研究によれば、脳内処理として、欧米人は単母音は左脳ではなく、音楽・雑音と同じ右脳で処理するのだそうです(’日本人の脳’)。

 拍かシラブルかということは、システムとしての本質的問題で、脳内の処理システム自体が違ってきているということです。

 [英語と日本語のバイリンガルの人でも、最初に英語を習った人と最初に日本語を習った人では、識字で使う脳の場所が違うが、同じ人では、英語でも日本語でも同じ場所が使われる]、ということが fMRI で確認されています。('脳の中の水分子')

  余談  拍とシラブル  

 最近のTVコマーシャルに外国人多数の編集会議らしきものの’エビちゃん’シリーズがある。最も新しいもので、「KANA・BO−」といっているのがある。最初は何を言っているのか分からなかったが、字幕スパーで、それが「鬼に金棒」の金棒であることが分かった。 
 外国人はこの「金棒」をゆっくりしゃべっているのだが、シラブル的に発音している。すなわち、「KANA」「BO−」の2シラブルで発音しているようだ。日本語では4拍、これを2音節でやられると、どうしても日本人には分からなくなる。一方、この外国人も分かっていても、拍の発音が出来ないのであろう。「小野」と「大野」が発音し分けられないように。

 案外と、日本語と欧米語の本質にかかわる問題なのかもしれない。(平成20年2月13日)

powered by Quick Homepage Maker 3.71
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional